この分析の趣旨も面白いのですが、その手前の現状分析がじゅうぶんに面白い。
お客の人数(お一人様か2人組か3人組か…)による注文数と客単価の分析結果の中に、意外な数値があったのです。
1.注文回数は、1組あたりの人数が増えるほど高くなる。
これは実感ありますよね。お店の人を呼んで、注文した数分後に、「オレ、これ食べたいな。スイマセーン!」と注文する。注文したものが届いたその場で、「注文いいですか」と注文を入れる。人数が多いわけだから、当然ですよね。
2.滞在時間は、1組あたりの人数が増えるほど長くなる傾向がある。
1人客の平均滞在時間は70分、2人組客は110分だったのに対して5人組客は188分。これも実感ありますよね。大勢でワイワイやってるわけですから。話は尽きないわけです。
3.客単価は、1組あたりの人数が増えるほど高くなるというような単純な傾向は見られない。
平均客単価は以下の様になっていました。
- 2人組客:2,935円
- 3人組客:2,680円
- 4人組客:3,123円
- 5人組客:3,375円
- 6人組客:3,253円
一方、まったく違う角度から考えれば、『この居酒屋には3人で行け!』ということです。同じお店に行って、他の組より安価に、「これでじゅうぶんいろいろ食べたよね」という満足を得ていると考えることもできますから。
誰が「いいお客さん」なのか?
しかし、ボクがすごく意外に思ったのは、「1人客」の客単価です。上にあえて書きませんでしたが、いくらくらいだと思いますか?
平均滞在時間は2人客の64%、4人客の50%ですよ。
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グループ客を上回る3,785円です!
お一人様は回転が速く、客単価が高い。
これを知っているのと知らないのとでは、お店の施策(広告、席配置、メニュー、メニュー表記)はまったく違ってくるはずです。他のお客さんをないがしろにしないよう、注意を払いつつ、お一人様を大歓迎するべきです。
そして課題は3人組客ですよね。大抵、4人分の席を使いますから、ツボ効率的にも...。かといって排除するわけにもいかないので、「3ピースの何か」(3人で分けやすいとか)をメニューに加えるとか、対策の考えようがあるわけです。
もし、お客の人数(お一人様か2人組か3人組か…)による注文数と客単価の違いを知らなかったら、業績を上げるための施策は「闇雲」になってしまうのではないかと思います。
ちなみに、調査対象は約2カ月間の中の35日の来店客で、分析に用いたのは7人以上の大グループを除外(調査の趣旨からサンプルとしてふさわしくないと判断された)した、データに欠損がない630組、1,671人。合計売上金額5,107,411円。
〔文=田中 剛/アミューズメントジャパン 元編集長〕