不満足を引き起こす要因(衛生要因)を取り除けば不満足感は減りますが、積極的なやる気につながる満足感を引き出すことにはつながらない。仕事の満足感を引き出すにはやる気につながる要因(動機づけ要員)が満たされる必要がある。これが「動機づけ要因・衛生要因理論」です。
それと同じようなことが遊技体験の中の個別要素についても言えるのではないかと考えました。
下記は最近パチンコ・パチスロを遊んだときの体験について尋ねた質問です。※対象者は過去1年間に1回以上パチンコ・パチスロを遊んだ人(全国の18歳~79歳)
様々な個別要素──例えば「お店は清潔な状態だったか」「お店には自分が打ちたい機械がたくさん設置されていたか」「お店のスタッフは対応が速かったか」等々──についての評価と、全体的な満足感をクロス集計してみました。
ある個別要素は、Positiveに評価されていると全体的な満足感もPositiveに評価され、Negativeに評価されていると全体的な満足感もNegativeに評価されという傾向が見えます。
ところが、すべての個別要素が全体的な満足感と、このような(回帰直線を引けるような)直線的な関係にあるわけではないようです。
別のある個別要素は、Positiveに評価されても全体的な満足感がPositiveに評価されるとは言えません。しかし、Negativeに評価されると全体的な満足感もNegativeに評価されるという傾向が見えます。
つまり、個別要素の中には、
“全体的な満足感にも不満足感にも影響を及ぼすもの”もあれば、
“全体的な満足感には影響を及ぼさないが、不満足感には影響を及ぼす”というものもある。
後者の場合、相関分析をしても(相関係数だけを見ても)傾向を見つけることはできません。そしてこれは、努力して取り組んでも、顧客満足にほとんど影響しないのです。“自己満足”の領域とも言えそうです。
いまの自店の課題に照らすと、何に優先的にリソースを投じるべきなのか?
そういったことに対する判断基準を持つことが必要だと思います。