ある製品カテゴリーの所有率とか、あるレジャーの経験率などの実態調査をする場合、街頭アンケートのほか、電話調査、インターネット調査など、(ほぼ)ランダムにサンプリングできる方法で調べます。
精度を高るためには、居住地域ごと、性別ごと、年代ごとにサンプルを集める数を割付け、実際の人口の比率に合うように重みづけした集計(ウェイトバック集計)をします。例えば、成人のどのくらいの人(割合)が「月2回以上の頻度でパチンコ・パチスロを遊んでいるか?」を知りたいとしたら、最近では市場調査会社のアンケートモニター数十万人から無作為に抽出ますが、なるべく対象者の偏りをなくすという意味では、何カ所かの街頭で調査をするのとほぼ同じです。
ところが、この調査をパチンコホールの店内で実施したらどういう数値になるでしょう?
店内にいるのはユーザーですから、まず、<ユーザー比率>を知ることができないという問題があります。
そして、店内のお客さんの中からランダムにアンケートの対象者を選んだとしても、高頻度者が選ばれる確率が高いのです。当たり前の話ですが、低頻度ユーザーはお店に来る頻度が低いわけですから、「いない」確率が高いのです。逆に、高頻度者はお店に来ている、「いる」確率が高いのです。高頻度者中心のアンケート結果です。繰り返しになりますが、あまりに当たり前のことですよね。
ですから、店内での調査で「全体の〇パーセントが~だった」という単純集計の結論(?)にはあまり意味がないんです。「全体」が指しているのは、<ある期間内にパチンコ・パチスロをやったことがある人>ではなく、あくまでも<店内にいた人>なのです(←高頻度者の構成比が多い)。
つまり、あくまでも「調査時に店内にいた人の〇パーセントが~だった」という結果なのです。
このことを理解していないと、得られた集計値はユーザー全体を推測するものではないにもかかわらず、あたかも、「ユーザー全体の〇パーセントが~」であるかのような、ピントが外れたレポートが仕上がってしまいます。
もうひとつ重要なのが、調査を依頼する場合に、極力、偏りのない対象者選びをするということ。具体的に言うと、その現場の性・年代その他の要素の構成比に合うように、対象者の人数を選ぶということ。
例えば、店内の実際の男女比が8対2なのに、「女性の方がアナンケートに協力してくれそうだから」とか、「年配の方のほうが協力してくれそうだ」という理由で、対象者が偏ってしまうと、実態とかけ離れていくのです。普通は、「なるべく店内の性・年代の構成比に合わせてアンケートを回収してください」という設計になっているはずですが、プロの調査員でない人が実査をやると、必ず大きな偏りがでます。仮にパチンコホール内でのアンケートで、調査回答者の男女比が1対1だったら、それは、大きな偏りがある、実態からかけ離れたサンプリングです。
もしも、ユーザー全体の実態を推測したいのであれば、ユーザー全体を(少数サンプルで)代表するために、相似形になるようなサンプリングをしなければなりません。これは非常に重要なことなのです。
2017年4月19日水曜日
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