2017年5月25日木曜日

ポピュラーなカジノゲームで勝てる確率は?


「大小」はマカオで人気のテーブルゲームで、3個のサイコロを同時に振り、出た目を当てるというシンプルなものです。『深夜特急』では若き日の沢木耕太郎がマカオの庶民の娯楽として大小が人気を博している様子を描いていました。

サイコロ3つの目の合計は3から18までありますが、もっともシンプルな賭け方はサイコロ3つの合計の目が4~17の「小」か、11~17の「大」かを当てるもので、配当は1倍。ルーレットで言えば赤か黒か、もしくは奇数か偶数かという、ほぼ半々の確率で当たるもの。
でも、ちょっとした例外があることで、勝つ確率は50%を下回ります。

サイコロ3つを同時に振ったときの目の組み合わせは6×6×6=216通り。目の合計が「10」以下になるのは、この半分の108通り。ただし、1-1-1、2-2-2、3-3-3という場合はハズレ(Lose)となります。

つまり、「小」に賭けて当たり(Win)になるのは105通り。

「小」に賭けて当たり(Win)になる期待値を計算します。
発生確率が105/216で、発生時の獲得額が1なので、期待値は0.486です。しかし、ハズレたときのことも考えなければなりません。ハズレの発生確率と損出額によるマイナスの期待値は、発生確率が111/216で、発生時の獲得額がマイナス1なので、マイナス0.513です。これを計算します。

216分の105の確率で1を得ることができて、216分の111の確率で1を失うわけですから、
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105/216×1+111/216×(-1)=-6/216=-0.0277
△2.7パーセントです。

これがカジノ側の利益の源泉で、ハウスエッジと呼ばれるものです。

仮に、「大」か「小」かのいずれか一方に毎回1000円を賭けるという遊び方をしていると、確率上は、毎回27円を失っていくという計算になります。


3つの合計の数に賭けると?


サイコロ3つの目の合計を当てる賭け方(Total)もシンプルな賭け方です。では、この賭け方は確率論的にどのくらい不利なのか。

出る確率が最も多い(組み合わせが最も多い)のは「9」「10」「11」「12」で、いずれも27通りあります。確率は216分の27=1/8です。これに対して配当はたいてい6倍です。


発生確率が1/8で、発生時の獲得額が6なので、期待値は0.75です。しかし、ハズレたときは1を失うのです。

仮に「10」に1000円を賭け続けるとどうなるかというと...、
発生確率が27/216で、当たると6000円を獲得できる。でも189/216の確率でハズレて、そのときにはマイナス1000円を得る(=1000円を失う)。これを計算すると、27/216×6000+189/216×(-1000)=△125円です。

表現を変えると、平均すると毎ゲーム△12.5%ということ。
けっこう不利な勝負だと思いませんか?

試行回数が少ないうちは勝ちに偏ったり負けに偏ったりしているでしょうが、試行回数が増えれば増えるほどこの数値に収斂していくことになります。ですから、こういう賭け方では、遊べば遊ぶほど負けていくことになります。

パチンコだろうとカジノだろうと、適度に楽しむ遊びです。ほどほどにすべきですね。

この確率の不利を乗り越えて、勝ちたいのであれば、「勝ってるときにやめる」のがいちばんでしょうね。

2017年4月19日水曜日

街頭調査と店内調査の違い

ある製品カテゴリーの所有率とか、あるレジャーの経験率などの実態調査をする場合、街頭アンケートのほか、電話調査、インターネット調査など、(ほぼ)ランダムにサンプリングできる方法で調べます。

精度を高るためには、居住地域ごと、性別ごと、年代ごとにサンプルを集める数を割付け、実際の人口の比率に合うように重みづけした集計(ウェイトバック集計)をします。例えば、成人のどのくらいの人(割合)が「月2回以上の頻度でパチンコ・パチスロを遊んでいるか?」を知りたいとしたら、最近では市場調査会社のアンケートモニター数十万人から無作為に抽出ますが、なるべく対象者の偏りをなくすという意味では、何カ所かの街頭で調査をするのとほぼ同じです。

ところが、この調査をパチンコホールの店内で実施したらどういう数値になるでしょう?
店内にいるのはユーザーですから、まず、<ユーザー比率>を知ることができないという問題があります。
そして、店内のお客さんの中からランダムにアンケートの対象者を選んだとしても、高頻度者が選ばれる確率が高いのです。当たり前の話ですが、低頻度ユーザーはお店に来る頻度が低いわけですから、「いない」確率が高いのです。逆に、高頻度者はお店に来ている、「いる」確率が高いのです。高頻度者中心のアンケート結果です。繰り返しになりますが、あまりに当たり前のことですよね。

ですから、店内での調査で「全体の〇パーセントが~だった」という単純集計の結論(?)にはあまり意味がないんです。「全体」が指しているのは、<ある期間内にパチンコ・パチスロをやったことがある人>ではなく、あくまでも<店内にいた人>なのです(←高頻度者の構成比が多い)。
つまり、あくまでも「調査時に店内にいた人の〇パーセントが~だった」という結果なのです。

このことを理解していないと、得られた集計値はユーザー全体を推測するものではないにもかかわらず、あたかも、「ユーザー全体の〇パーセントが~」であるかのような、ピントが外れたレポートが仕上がってしまいます。

もうひとつ重要なのが、調査を依頼する場合に、極力、偏りのない対象者選びをするということ。具体的に言うと、その現場の性・年代その他の要素の構成比に合うように、対象者の人数を選ぶということ。
例えば、店内の実際の男女比が8対2なのに、「女性の方がアナンケートに協力してくれそうだから」とか、「年配の方のほうが協力してくれそうだ」という理由で、対象者が偏ってしまうと、実態とかけ離れていくのです。普通は、「なるべく店内の性・年代の構成比に合わせてアンケートを回収してください」という設計になっているはずですが、プロの調査員でない人が実査をやると、必ず大きな偏りがでます。仮にパチンコホール内でのアンケートで、調査回答者の男女比が1対1だったら、それは、大きな偏りがある、実態からかけ離れたサンプリングです。



もしも、ユーザー全体の実態を推測したいのであれば、ユーザー全体を(少数サンプルで)代表するために、相似形になるようなサンプリングをしなければなりません。これは非常に重要なことなのです。

2017年4月12日水曜日

遊技参加人口はどのくらいの高齢化しているのか?

遊技業界でもよく「ファンが高齢化している」と言われます。ホールに取材に行って主な客層を尋ねると、「高齢の常連さまがほとんど」という答えが返ってくることは珍しくありません。

全国の18歳体に79歳の男女約4700人を対象に、さまざまなレジャーの参加状況を調査した結果(実際の性・年代の構成比に合わせたWB集計をした)、過去1年間にパチンコ・パチスロを遊んだことがある人は約1200万人と推計できました。
UUが約1200万人です。

さて、この18歳から79歳の遊技参加者約1200万人のうち、60代・70代はどのくらいの割合を占めるでしょうか?

遊技業界の方々の感覚は、「3割から4割」といったところでしょう。

2割。

わずか2割にすぎない。それが前述の調査の結果です。

もちろんこれは全国平均であり、地域により差があるかもしれません。しかし、業界を支えるユーザー属性ををマクロ的に見るとこんな具合だということは認識しておくべきでしょう。

2017年2月1日水曜日

全体的な満足感に影響を与えているのは何か?

臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグは、人が仕事に「満足」を感じる要因と「不満足」を感じる要因は全く別物であるとする理論「動機づけ要因・衛生要因理論」を提唱しました。
不満足を引き起こす要因(衛生要因)を取り除けば不満足感は減りますが、積極的なやる気につながる満足感を引き出すことにはつながらない。仕事の満足感を引き出すにはやる気につながる要因(動機づけ要員)が満たされる必要がある。これが「動機づけ要因・衛生要因理論」です。

それと同じようなことが遊技体験の中の個別要素についても言えるのではないかと考えました。


下記は最近パチンコ・パチスロを遊んだときの体験について尋ねた質問です。※対象者は過去1年間に1回以上パチンコ・パチスロを遊んだ人(全国の18歳~79歳)

様々な個別要素──例えば「お店は清潔な状態だったか」「お店には自分が打ちたい機械がたくさん設置されていたか」「お店のスタッフは対応が速かったか」等々──についての評価と、全体的な満足感をクロス集計してみました。

ある個別要素は、Positiveに評価されていると全体的な満足感もPositiveに評価され、Negativeに評価されていると全体的な満足感もNegativeに評価されという傾向が見えます。
ところが、すべての個別要素が全体的な満足感と、このような(回帰直線を引けるような)直線的な関係にあるわけではないようです。
別のある個別要素は、Positiveに評価されても全体的な満足感がPositiveに評価されるとは言えません。しかし、Negativeに評価されると全体的な満足感もNegativeに評価されるという傾向が見えます。
つまり、個別要素の中には、
全体的な満足感にも不満足感にも影響を及ぼすもの”
もあれば、
全体的な満足感には影響を及ぼさないが、不満足感には影響を及ぼす”
というものもある。

後者の場合、相関分析をしても(相関係数だけを見ても)傾向を見つけることはできません。そしてこれは、努力して取り組んでも、顧客満足にほとんど影響しないのです。“自己満足”の領域とも言えそうです。

いまの自店の課題に照らすと、何に優先的にリソースを投じるべきなのか? 
そういったことに対する判断基準を持つことが必要だと思います。

2017年1月29日日曜日

何に満足すると再来店してくれるのか?

全国の18歳~79歳の男女約4700人から回答を得た「余暇・レジャー」についての意識・実態調査の分析に着手してるんですが、今回は、パチンコホール店内のいろんな個別要素(ハードであったりソフトであったり)のうち、何がどのくらい「遊技体験の総合的な満足度」や「再来店意向」に影響しているかの分析を試みます。

 「(直近の遊技体験の)総合的な満足度」を含めた27項目の回答を相関分析したところ、想定の範囲内(あくまでも自分にとって)の結果になった!!!

ということは、仮説がけっこう正しかったってことさ(笑)。


ちょっと意外だったのは、「再来店意向」と「総合的な満足度」の相関係数。たしかに他の項目と比べれば両者の相関係数は相対的に高め。

しかし、「再来店意向」と最も相関係数が高かったのは、「総合的な満足度」ではなかった!「総合的な満足度」よりも高い相関係数となった項目がいくつかある! 

「総合的な満足度」と相関の強いことと、「再来店意向」に相関の強いことの、どっちに注力したらいいんだ?ってことに迷うわけないですよね。ビジネスに大事なのは再来店してくれることですからね。


相関と因果は別物ですが、総合的な評価というのは複数要素の個別評価の結果であると考えるのが妥当です。また、再来店意向も、個別評価の結果と考えるのが妥当です。つまり、因果関係があると考えるのが妥当です。


ですから、総合的な評価もしくは再来店意向を目的変数とした重回帰分析によって、影響度の高い要素を見つけ出すことができるはずです。


努力の結果が再来店意向にあまり影響しないことというのもあるんです。

2017年1月5日木曜日

300分の1の確率の場合、300回やって当たる確率を求める

カジノのルーレットは0〜36までの番号が振られたポケットがあります(ヨーロピアンスタイル)。特定の数字を予想して賭ける場合、確率は37分の1(2.7%)です。そう簡単に当たりませんから、1目賭けを続けていたらあっという間にチップがなくなるし、楽しくないと思います。

では、300分の1の確率で当たりが出るルーレットがあったとします。「300回挑戦すれば1回は当たる」ということで、確率は0.3333%です。300分の1の確率に賭ける遊びは、めったに当たらないわけですから、短い時間の間に相当な回数の抽選がなされるか、賞金がよほど多額でないと楽しくないはずです。

しかし「偶然」が支配していると、300分の1の確率であっても、30回で当たることもあれば、300回でも600回でも当たりが出ないこともあるのです。

「30回までの間に一度は当たる確率」はどのくらいかというと、9.53%です。
「300回までの間に一度は当たる確率」はどのくらいか? 答えを言ってしまうと、63.27%です。

「300分の1の確率なんだから、300回やればもっと高い確率で一度くらい当たるのでは?」
と思う方も、きっといると思います。そこで、なぜ63.27%しかないのか、算出の仕方をご説明しましょう。


「300回までの間に一度は当たる確率」とは、「1」から「300回挑戦して一度も当たらない確率」を引いた値です。これに気づくことができれば、「300回挑戦して一度も当たらない確率」を求めればよいとわかります。

「300分の1の確率で当たる」ということは「300分の299の確率で外れる」ということです。2回続けて外れる確率は、299/300×299/300=99.33%です。3回続けて外れる確率は、299/300×299/300×299/300=299/300の3乗=99.00%です。
「300回挑戦して一度も当たらない」とは300分の299の確率の出来事が300回続くことであり、確率は299/300の300乗。これを計算すると0.3673です。

よって、「300回までの間に一度は当たる確率」は、1-0.3673=0.6327で、63.27%となります。

参考までに書くと、600回挑戦しても、一度も当たらない確率は13.49%あります。表現を変えると、「600回挑戦した場合、一度以上当たりが出る確率は86.51%」となります。

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